本日は、Aiko Energy Japan株式会社の日本・韓国代表責任者でもある社長の趙宏碧(チョウ コウヘキ)氏にお話を伺いする。Aiko社は世界的な技術をリードする新エネルギー企業で、2009年の設立以来、太陽光発電製品の研究開発と製造、太陽光発電のエネルギー貯蔵と利用の総合的な解決策に焦点を当てて注力をしています。2021年にはABC(All Back Contact)太陽電池を発明し、太陽電池の量産効率を飛躍的に向上させました。その優れた品質により、製品はヨーロッパの顧客に好評を博し、Aiko社はブルゲラント州が2030年までにカーボンニュートラルの目標を達成できるよう、ブルゲンラント電力とも協力している。
エナビズ:
趙社長、ENERGY BIZのインタビューにご対応頂きありがとうございます。
早速ではございますが、質問をさせて頂ければと思います。
日本市場におけるAiko社の立ち位置と考えられているターゲット層はどこでしょうか?
Aiko Energy Japan株式会社:
Aiko社は日本市場において、第一に住宅向け、第二に商業および工業向けが主なターゲットとなっています。なぜなら、日本のFIT制度は基本的に終了期に差し掛かっており、ABC電池自体が低価格戦略ではなく、顧客に高い付加価値を提供し、その結果として顧客の収益を向上させることを目指しているからです。
目標のターゲットにおいて、企業はより多くの注意を自家消費とPPA(電力購買契約)など、需要主導のプロジェクトに向けています。このようなプロジェクトの顧客は、限られた土地面積や屋根面積の中で、どのようにして発電容量を増やすか、同時に高品質の製品を選択して保証期間を延ばし、顧客の発電収益を向上させる方法により関心を寄せることがあります。初期の投資コストだけでなく、顧客の発電収益にも焦点を当てています。これが今後、日本市場での主要なターゲットとなるでしょう。我々は、日本市場が欧州市場と類似しており、高品質で付加価値の高い製品を受け入れることができると考えています。
エナビズ:貴社の太陽光発電セルはBC(Back Contact)路線を採用していますが、BC路線、TOPCon、HJTの3つの技術路線の違いとそれぞれの利点・欠点について教えていただけますか?
Aiko Energy Japan株式会社:
これらの技術はすべてn型の最新技術であり、現在最も主流な技術です。TOPConの利点は、既存のperc生産ラインを改造し、すぐにTOPCon生産ラインに変換できることです。このため、初期の設備投資コストが低くなり、TOPConの製品価格がBCやHJT技術を使用する製品よりも低くなるという結果につながります。ただし、TOPConにはいくつかの課題が存在します。まず、理論的な面での制約があります。理論上の技術面では、TOPConの発電効率の最高値はRPCやHETの水準には達しないため、その為、私の見解としては、TOPConはあくまで過渡的な製品であると考えています。第二に、TOPConはpercと比較して、製品の銀使用量が30%以上増加するという課題があります。一方、当社が使用しているABC技術は銀不使用が可能です。太陽光発電のTW時代(テラワット=兆W=10億kW)が到来しており、地球の銀資源などの希少鉱物資源が減少している中、モジュールメーカーにとって、原材料の資源制約を克服しない限り、TW時代にはコストとその他の製造上の問題に直面することになります。
HJTの利点と欠点ははっきりしています。HJTの理論的な発電効率は非常に高く、BCと同程度です。しかし、欠点も明らかで、まず生産プロセスが難しいことが挙げられます。第二に、製品の製造コストが非常に高いことです。第三に、製品の銀需要も非常に大きいです。HJT製品には銀とインジウムという二つの材料が必要であり、インジウムの生産能力は銀よりも遥かに少ないため、現在中国の主要メーカーがHJTを重点的に開発していない理由の一つです。全ての生産をHJTに切り替えると、原材料供給に問題が生じる可能性があるためです。
IBCも同様に利点と欠点が存在します。欠点ははっきりしており、ABCの生産プロセスがTOPConよりも複雑であるため、設備投資が大きく、さらにIBC設備の投資は基本的にゼロから始める必要があります。なぜなら、過去の量産perc生産ラインとは互換性がないからです。また、ABCの多段工程生産は製品の合格率が難しく、合格率は直接コストに関わるため、ABCの導入障壁は高いです。
しかし、ABCの利点も同様に明らかです。第一に、理論的な発電効率が最も晶硅に近く、つまりABCモジュールの理論発電値はこれらの技術の中で最も高いです。第二に、IBCは背面配線であるため、他の製品よりも安定しています。第三に、原材料に関して、ABCは原材料の供給制約を受けないため、銀資源の制約を克服し、銀不使用の金属コーティング技術を最初に実現したため、銀資源の制約を克服することができます。これは、当社が技術製品において先行する理由の一つです。
エナビズ:御社のスマート工場を簡単に紹介していただけますか?
Aiko Energy Japan株式会社:
以前、工場の各生産ラインには多くの労働者が必要であり、人件費が高く、手作業による製造のため品質の保証が難しかったです。しかし、現在、当社はスマート工場を使用しており、生産ラインのメンテナンスと調整を行うのに僅かな人員しか必要とせず、これにより人件費を節約できました。同時に、すべての製品が生産ラインで製造されるため、品質と効率が確保されています。
エナビズ:「BCモジュール」は、過去2年間、特許に関するリスクが存在しています。貴社はこのリスクをどのように回避していますか?
Aiko Energy Japan株式会社:
同じくBC技術を使用していますが、LONGIが製造する製品はHPBCであり、maxeonが製造するのはIBCです。一方、当社が製造するのはABCになります。大まかな観点からBCはすべて背面接続ですが、聞こえは似ていますので、技術も同じではないかという疑問が生じることがあります。しかし、背面接続であっても、各社のアプローチは異なります。maxeonの背面接続技術は、セル間をボタン式の接続方法でつなげるものです。一方、当社の製品の背面接続は、一本を、はんだ付けにして背面で接続するものです。技術の分野ごとに異なる派生があります。また、当社はBCの分野で独自の特許も多く保有しており、基本的にはリスクはほとんどありません。さらに、この一年間で、多くの日本の有名なモジュールメーカーの担当者や専門家を工場に招待し、見学をして頂きました。見学者は、最初は不安や疑問を持って訪れることがありましたが、見学後には、当社の生産ラインに対して、非常に安心をしてくれました。なぜなら、当社の製品がmaxeonと生産する製品とは異なることが確認できたからです。
エナビズ:御社はどの国で特許を出願されましたか?日本にも特許を取得しているのでしょうか?
Aiko Energy Japan株式会社:
当社の特許は中国で出願しました。ただ、他の国でも出願する予定です。
エナビズ: 御社の生産拠点はどこにありますでしょうか?将来的に生産能力を拡大する予定はありますか?
Aiko Energy Japan株式会社:
現在、当社の生産拠点は珠海にあり、珠海の拠点は一期と二期に分かれています。現在、珠海の6.5GWのABCセルプロジェクトが稼働しており、新しい3.5GWセルの増産プロジェクトおよび10GWのモジュール製造プロジェクトは計画通りに建設され、順次稼働しています。珠海と義烏を合わせると、今年末までに25GW電池セル+ABCモジュールの生産能力を形成する予定であり、その後、済南など他の拠点の建設に伴い、ABCの生産能力は40GW以上に拡大する見込みです。
エナビズ:義烏に工場を建設したのはなぜですか?
※「義烏」は、中国の浙江省に位置する都市
Aiko Energy Japan株式会社:
当社は義烏に最大のp型セル製造拠点を有しており、その生産能力は年間約34GWです。産業基盤と政府の支援があるため、当地に工場を建設することを選択しました。
エナビズ:御社は海外市場をどのように位置づけていますか?
Aiko Energy Japan株式会社:
2023年に海外展開を初めた際、最初はアジアの日本と韓国に焦点を当て、その後にヨーロッパ地域に展開しました。ヨーロッパでは既に8つの国に法人があり、オーストラリアにも法人を設立しています。来年は東南アジアでの展開の可能性があります。その後は、中東やアフリカなどを検討しています。最終的には南アメリカも検討対象ですが、現時点では具体的な計画がまだないため、将来的には進める予定です。
エナビズ:アメリカ市場への展開も検討されていますか?
Aiko Energy Japan株式会社:
米中問題などのいくつかの理由から、現在はアメリカ市場にすぐにアプローチすることが難しいと考えています。しかし、本社では、変わらずアメリカ市場の計画も検討しており、将来的にこれらの内容に取り組む予定です。
エナビズ:では、東南アジアに生産拠点を設け、東南アジアの拠点を通じてアメリカ市場に進出することを検討したことはありますか?
Aiko Energy Japan株式会社:
本社は確かにそのような検討もしているとは思いますが、具体的に今、どの段階まで進んでいるかというと、現在は準備段階で最新情報があれば発表致します。
エナビズ:御社の今年の日本での売り上げをお伺いしてもいいでしょうか?
Aiko Energy Japan株式会社:
数字はまだ集計中で、現時点での正確な数値はわからないが、日本市場参入の1年目の企業としては成功したと言えると考えています。
エナビズ:将来の日本でのアフターサービスシステムの構築について御社はどのような考えをお持ちですか?
Aiko Energy Japan株式会社:
当社は現在、独自のアフターサービスチームを持ち、日本チーム全体で15人のメンバーがいます。これには販売チームやアフターサービス担当者も含まれています。同時に、当社は日本で主に代理店を通じて展開しており、簡単に言えば営業も分担していると言えます。そのため、当社の販売代理店もアフターサービスの一部を担当しています。現在、日本には三つの代理店があり、今後も拡大を予定しています。
エナビズ:日本市場は今、フレキシブルモジュールに関心を寄せているが、御社はフレキシブル・モジュールをどのように見ていますか?
Aiko Energy Japan株式会社:
フレキシブルモジュールについては、積極的に研究と情報収集をしており、例えばヨーロッパ、オーストラリア、そして日本でも軽量化モジュールへの高い需要があります。現在、平方メートルあたりの平均重量が5キログラム以下の軽量化モジュールを開発中であり、順調ならば来年にも市場に登場する予定です。これにより、過去には屋根の耐荷重性やその他の理由から設置できなかった場所にも、将来的にはこの軽量化モジュールを使用して設置することが可能になるかもしれません。
エナビズ:御社は日本市場の将来性についてどのように考えていますか?
Aiko Energy Japan株式会社:
日本において、地上の太陽光発電所に適した土地がますます少なくなっていますが、当社の製品は住宅や商業施設の屋根を対象としており、他の企業の製品よりも日本市場に適している可能性があります。この点を考慮して、欧州と日本では主に屋根プロジェクトのモジュールを推進しています。個人的には、地上の太陽光発電所が減少していることは、当社が重点的に展開したい分野にはあまり大きな影響を与えていないと考えています。また、逆に言えば、地上の太陽光発電所に適した土地がますます少なくなっているため、各地の土地が非常に貴重です。有限の土地面積を利用してより大きな発電量を追求する必要があります。同じ寸法の製品の場合、当社の製品は確実にTOPConの製品よりも20Wまたは30W以上高い効率を持っています。
エナビズ:御社が日本市場で主に推進しているのは屋根置き型モジュールでしょうか?
Aiko Energy Japan株式会社:
はい、そうです。 商業施設および再利用可能な屋根を主要な対象としているますのが、当社の日本市場での主力事業です。その後、両面発電の大型モジュールの生産が進むにつれて、発電所に関する分野では、TOPConの両面発電モジュールやHJTのモジュールとの競争も考えられます。将来、適切なプロジェクトがあれば、積極的に取り組むつもりです。
「Aiko Energyは、第18回PV EXPO[春季]展にて、最新の製品と技術を披露いたします。
※PV EXPO春季展は2024年2月28日(水曜日)から3月1日(金曜日)まで、東京・有明国際展示場で開催しています。最新の製品である両面発電モジュールと軽量化モジュールを展示します。製品の展示だけでなく、モジュール発電量の現地比較デモンストレーションや専門家による講演など、さまざまなイベントをご用意しております。
皆様と展示会でお会いできることを心よりお待ちしております。」
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