現在、中国の太陽光発電産業のライバルは、主にインドとアメリカであるが、ベトナムやトルコが今後この競争に参入してくる可能性がある。
PV大国間の競争に参入するためには、概ね以下の条件を満たす必要があるとされている:
第一に、強力な製造能力、発達した産業チェーン、十分な市場規模といった、大国になるための基本的な可能性を持っていることである。
第二に、一定のコスト優位性を持っていること。PVモジュールの価格は、全世界でほぼ統一されている状況であるため、自国の市場では地位を確立することができても、世界ではその地位を確立できない可能性があるのである。価格の上昇は、欧米などの応用側の国以外では、他国での高品質化・低価格化の影響を避けることができず、輸出が難しく、さらにスケール効果も出にくいためである。
最後に、国内で新エネルギー開発を奨励・支援する社会的風潮があり、良好な政治・ビジネス環境が整備されることが不可欠である。
実は、太陽光発電産業の発展には、製造業への支援がかなり必要となっている。インドが自国のPV市場の保護に積極的なのは、広く知られている。欧米先進国では製造業の空洞化が深刻であり、中南米やアフリカの国々ではインフラの不備に悩まされている。インドとトルコは発展途上国ではあるが、十分な規模があることから、今後、中国と覇権を争う可能性がないとは言えないだろう。
インドやトルコとは経済構造が似ていることから、中国は、この二国とは、アメリカとの間では生じないような同質的な競争に直面し、より激しい経済的対立が生じると思われる。
近年、トルコは中国製太陽光発電製品への依存度を下げる努力をしている。まず、中国から設備を調達して独自の生産ラインを立ち上げるとともに、2017年以降、中国製太陽光発電製品に関税を課した。前者はともかく、後者は中国に打撃を与えるものだった。当時の関税は、イギリス企業16社に対しては1平方メートルあたり20米ドル、その他の企業には25米ドルだったのだが、2020年には、モジュール電力の上昇により、トルコはキログラム単位で関税を計算するようになった。
インドの政策はトルコの上を行くものだった。インドは、関税に加え、中国のPVインバータメーカーに対して、最大で数百万ドルの費用が必要となる自国の認証を取得することを要求してきた。国際的にも知名度のある機関の認証の取得でさえもこのような高コストを負担する必要はないにも関わらず、それを支払うことを中国企業は余儀なくされた。
また、業界関係者の中には、インドでの高額な認証要求の背景には、実はAdani、Waaree、Tataといったインドの地元企業や、現地に工場を持つ企業の存在があると分析する者もいる。以前、インド太陽電池製造者協会(ISMA)は、インド政府に対し、現地のPV製造業に貿易保護を与えるよう求め、70〜95%という高関税を提案したこともあった。結局、これらの提案は実行されなかったが、インド政府の政策決定に多少影響を与えることになった。
実は、これはインドでは一般的な駆け引きである。海外販売の経験を持つ多くの業界関係者によると、インドの顧客は、1〜2GWの数十億円規模の大型契約を積極的にオファーすることが多いそうであるが、実際には、その合意後、数百、数十MW、あるいは数個のサンプルに発注量を減らしていくことがよくある。そうすることで、自分たちの利益を得ようとするのである。
また、インドの太陽光発電市場について、業界では「値引き交渉の気があれば、彼の勝ち」という言葉もよく聞かれる。業界ではこれに反発し、「乞食」と批判する人も多いが、インド企業はこれを恥じることはない。実際、インドではライバルの寛容さに感謝することなく、むしろ更にそれを求めるような考え方が浸透している。彼らにとっては、「乞食」的な競争戦略は自分たちの努力の結果であり、それは批判されることではないと考えている。
このように、世界では既に自国の利益のための激しい競争が始まっているのである。
(記者 山本 圭輔 編集 高橋 淳 校閲 石井 美香)



