エネルギー貯蔵の必要性
温室効果ガスの排出削減のため、再生可能エネルギーが火力発電に取って代わりつつある。しかしながら、風力および太陽光などの再生可能エネルギーは日照や気象条件によって安定しないという問題がある。したがって、これらを直接送電すると、電力供給の安全性に潜在的なリスクをもたらすことになる。
水力や風力の変動、日陰の度合などによって、再生可能エネルギーの電力供給が不安定である。しかし、生活や生産では電力供給の不安定を許容できない。そのため、再生可能エネルギーの安定な送電を実現するために、研究者は水力や圧縮空気などのエネルギー貯蔵技術を開発し、利用者のリアルタイムのニーズに応じて電力供給を安定化させている。
圧縮空気エネルギー貯蔵の技術と課題
現在、特大規模のエネルギー貯蔵は通常、水力または圧縮空気の技術が使用されている。比較的成熟した技術である水力貯蔵に対して、圧縮空気エネルギー貯蔵の方は地理的条件への制限が少なく、幅広い場面で利用できるため、各界の注目を集めている。
基本原理は、余分な電力を利用できない場合、電動機を使用して空気を圧縮し、電力を機械エネルギーに変換し、その後空気の圧力エネルギーに変換することである。発電が必要な場合、高圧の空気を放出して、高温・高圧の空気を膨張式発電機に供給して発電する。これは、空気の圧力エネルギーが再び機械エネルギーに変換され、電力に変換されることを意味する。
この発電プロセスは従来の火力発電や水力発電と似ているが、作業媒体が異なるものの、いずれもタービン機械を駆動して、電力を発生させるメカニカルな方法である。このメカニカルな発電方式は非常に成熟しており、信頼性も高い。
この技術自体は1990年代以前から存在し、現在はドイツやアメリカなどで使用されている。しかし、従来の圧縮空気エネルギー貯蔵技術の欠点は、圧力エネルギーを機械エネルギーに変換する際、空気を膨張させるために十分な熱エネルギー供給する必要があることである。十分な熱エネルギーがない場合、空気は膨張させて発電することはできない。したがって、従来の技術はこのプロセスを補助するために石炭や天然ガスなどの火力源を使用し、再生可能エネルギーの保存目的に反している。これが技術の普及を阻むボトルネックの一つとなっている。
カーボンニュートラルの突破口 – 先進的圧縮空気エネルギー貯蔵技術
カーボンニュートラルの理念を実現するために、各国は火力供熱を必要としない圧縮空気エネルギー貯蔵技術を実現するために努力している。中国で開発された先進的圧縮空気エネルギー貯蔵技術はまさにその1つである。
生活経験を振り返ると、風船を膨らませるとき、ポンプが熱くなることに気付くであろう。これは、空気を圧縮過程における発熱現象である。圧縮空気エネルギー貯蔵の過程も同様で、空気を圧縮する過程で多くの熱エネルギーが放出される。もしも、従来の手法と同じく、これらの熱エネルギーを収集しない場合、膨大なエネルギーが無駄に失われてしまう。
現在、中国を含む研究機関が開発した先進的な圧縮空気エネルギー貯蔵技術は、圧縮過程で発生する熱エネルギーも蓄熱技術で回収し、蓄熱システムに貯蔵するものである。発電のために圧縮空気が必要になった場合、蓄熱された熱エネルギーを使用して空気を予熱することで、天然ガスの役割に取って代わる。
熱エネルギーの他にも、圧縮された液体空気が気体に戻る際に冷却エネルギーも発生する。中国の研究チームは、このプロセスで発生する冷却エネルギーを収集し、保存する蓄冷システムをすでに開発し、圧縮空気を液化する際に冷気を使用して空気を加速冷却する必要がある場合、再び効率的に利用できる。
このように、圧縮空気の圧力エネルギー、熱エネルギー、冷却エネルギーを最大限に活用する先進的圧縮空気エネルギー貯蔵技術は、エネルギー貯蔵分野のダークホースになり、中国をはじめとする多くの国で試験運用段階に入っている。
新技術応用の課題
この技術の将来は非常に明るいが、大規模な応用までは克服すべき課題が山積している。
課題1ー技術性能の向上が必要。現在、中国のメガワット規模のシステム効率は約52%、百メガワットのシステム効率は約70%で、圧縮空気エネルギー貯蔵技術の理論的限界効率である75%までは、まだ向上の余地がある。
課題2ーシステムコストの削減。現在、百メガワット規模の圧縮空気エネルギー貯蔵技術が実装されると、初期投資コストは約21,000-25,000円/kWhである。また、百メガワットシステムのライフサイクルにおける電力コストは約4-6円/kWhで、将来的には4円/kWh未満に削減される見込みで、より経済的になると予想される。
(文・編集 松木 大燿)



