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新「エネルギー計画」を実現する日本における難しさは?

 7月21日、経済産業省の資源エネルギー庁は「第6次エネルギー基本計画」素案を発表しました。この素案は、日本の発電エネルギーの将来において太陽エネルギーおよびその他の再生可能エネルギー源のシェアを増加させ、再生可能エネルギー発電を日本の二酸化炭素排出削減を達成するための重要な位置に置いています。素案が発表されると、その内容についてさまざまな議論が交わされています。ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を含む太陽光発電は2030年までに迅速な大量導入が可能な再生可能エネルギー電源種ではありますが、やはり不十分な扱いとなりました。再生可能エネルギーを通じてエネルギー目標を達成したいという日本の希望の実現可能性に疑問を抱える人も少なくないです。

 

01 再エネ導入目標の引き上げも、個別政策の整備が不十分

 

 気候変動対策目標の引き上げに対応した再生可能エネルギー導入目標の引き上げは行われましたが、個別政策は従来のままで全体の目標達成に向けた対応ができていません。特に足を引っ張る可能性のある事業規律強化とコスト低減という目先は相反しかねない政策対応や、適地確保と系統制約の克服といった喫緊の課題には真剣に向き合う必要があります。これらの政策対応のポイントとして挙げられた項目は、それぞれ導入拡大のアクセルとブレーキになり得るため、その中での優先順位も整理すべきです。

 

02 FIT及びFIP制度の導入目標に対する不整合の放置

 

 これまで再三指摘を重ねてきましたが、現行のFIT・FIP制度は今回のような大幅な再エネ導入目標引き上げを想定していません。つじつま合わせのようにFIT・FIP制度による導入見込み量を低く抑えるのではなく、より一層の導入加速を支援する制度に抜本的な作り直しを図るべきです。

 

 再生可能エネルギーの導入を市場に任せたいのであれば、「プレイヤーが増え市場が拡大することによってコストが低下していく」という基本的な視点を忘れてはなりません。FIT制度によって太陽光バブルは起きましたが、産業政策がなかったためにプレイヤーが定着しませんでした。ここ数年は太陽光発電の導入抑制を図ってきたことを経済産業省・資源エネルギー庁も認めている中で、プレイヤーの減少によって今後は確実に設置費用の増加が進みます。その現実から目を背けるべきではなく、まずは2030年に向けた劇的な市場拡大を図るために現在の課題と真剣に向き合い、再度の市場拡大と産業育成に必要な政策措置を検討すべきです。

 

03 再生可能エネルギー熱利用の扱いが小さすぎる

 

 日本の再エネ政策は電力一辺倒で進んできましたが、ここに来ても再生可能エネルギー熱利用の扱いが小さすぎます。2030年度に至っても電化率が30%程度にとどまるという見通しが示されているため、脱炭素化に向けては、残りの70%を占める熱・燃料部門においても、再生可能エネルギー比率を1%でも向上させていくべきです。

 

 本文だけでも13万字ある文章の中で以上の内容しか扱われていない再生可能エネルギー熱利用ですが、「我が国の最終エネルギー消費の過半を熱利用を中心とした非電力部門が占めて」いると記載があり、電力部門だけでなく熱部門においてもより一層の再生可能エネルギー政策を推し進めるべきです。

 

04 再生可能エネルギー事業を進めるプレイヤーが見えない

 

 今回の素案では、少なくとも2030年時点での太陽光発電導入量は現在の2倍以上になり、「更なる追加見込み量」として曖昧に残された導入目標値も実質的に太陽光発電が担うしかないであろうことを考えると、現状の3倍程度は導入することを想定しておかなければなりません。

 

 なぜなら、2020年代後半に他の電源種が目標未達となりそうな場合、短期間で導入量の上積みが可能となるのは太陽光発電だけだからです。

 

 問題は、追加で100GW近い導入を誰が担うのかです。設備投資額としては15~20兆円が予想されますが、あと実質8年と考えると単純計算で年間2~2.5兆円の投資を行っていく必要があります。しかし、先にも述べたように2017年度以降のFIT制度下における太陽光発電の抑制方針によって発電事業者から施工会社やメーカーまで多くのプレイヤーが退出しており、これだけの投資を引き受けられる先がありません。熱狂的な太陽光バブルだった2014~2015年頃を上回る導入量を、今後毎年続けていかなければならないと考えると、改めて国内外から再生可能エネルギーに投資を呼び込むだけの環境を整え積極的な人材育成も図る必要があります。

 

 以上、本文は大きく4点を挙げまして、新「エネルギー計画」を実現する日本における難しさを分析しました。他にも指摘すべき点は多々ありますが、例えば、原子力発電がこの計画通り再稼働しなかった場合に何で不足分を補うのか、あるいは再生可能エネルギーが増えなかった場合にどうするのか、そして省エネ量が予定通りに確保できない場合など、本文は詳しく述べません。日本の新「エネルギー計画」は前向きな目標ですが、それを達成するために、克服すべき課題がまだたくさん残っています。

 

(記者 阿部 武彦 編集 高橋 淳 校閲 石井 美香)

 

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