オーストラリア最大の石炭火力発電所が、予定より早く2025年8月に閉鎖されることになった。これは、風力や太陽光発電の導入により石炭火力発電所の経済性が低下したためで、当初の計画より7年早くなっている。
シドニーの北120キロメートル(75マイル)に位置し、1984年に稼働開始したこの発電所は、設備容量2,880 MWで、オーストラリアで最も人口の多いニューサウスウェールズ州の電力需要の約4分の1を賄うことができる。
オリジン(Origin)は、電力料金の下落で軒並み苦戦を強いられていた競合他社の石炭火力発電所に続き、早期閉鎖に踏み切ったのである。
オリジン(Origin)は当初、技術的なライフサイクルが終了する2032年を閉鎖の時期としていたが、ネットゼロへの転換に伴い、オーストラリア国内のエネルギー市場の変化と連動させることにしたのである。オーストラリアでは再生可能エネルギーによる発電が増え続け、家庭の屋根に設置する太陽光発電の利用が盛んになり、既存の石炭やガスによる発電の魅力が弱まってきている。
エラリング(Eraring)が早期閉鎖することにより、オーストラリアの送電網の価格と信頼性が低下するのではと危惧されている。しかし、エラリング(Eraring)の閉鎖後、Originが現地に700MWの大型蓄電池の設置を予定し、これがオーストラリア最大の既存蓄電池であるネオエンSA (Neoen SA)の蓄電池ビクトリア・ビッグバッテリー(Victoria Big battery)の容量を上回ることになるため、蓄電池建設の発表と計画中の送電容量の増加により、同州には十分な発電能力があり、エラリング(Eraring)が閉鎖された後でも、エネルギー安定供給の目標が達成できるであろう。
再生可能エネルギー発電の台頭は、電力卸売価格に影響を及ぼし、再生可能エネルギー、蓄電池、オリジン(Origin)のピーク時の発電を組み合わせることで、オーストラリアのエネルギーコストが抑えられることが期待されている。
オリジン(Origin)のこの動きは、同社がようやく蓄電市場を認めたことを示すものである。エラリング(Eraring)サイトに700MWのバッテリーを設置するというオリジン(Origin)の計画は、将来の送電網は天然ガスではなく、バッテリーと再生可能エネルギーが主流となることを裏付けるものであろう。
オリジン(Origin)は、当面の間、閉鎖日や技能再訓練、再就職、転職の支援について、従業員と協議を続ける予定である。
(記者 阿部 武彦 編集 高橋 淳 校閲 石井 美香)



