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木曜日, 4月 16, 2026
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SmartOMのスマート・テクノロジー、勢いに乗る

 

 本日は、TAOKE ENERGY株式会社代表取締役社長の陸劍洲さんにお話を伺います。2018年に設立されたTAOKE ENERGY株式会社は、世界最大のリチウムイオン電池メーカーである寧徳時代(CATL)社、中国の大手PCSメーカーであるSinexcel社と緊密なパートナーシップ関係を構築し、3社の強みを融合した蓄電システムソリューションと充実したサービスを日本市場に提供しています。同社は、太陽光発電所の遠隔監視システムで培った技術力と市場経験を生かし、自社開発のエネルギー管理システム「EMS」、統合エネルギー遠隔監視システム「SmartOM」を開発、系統側、発電側、需要側の異なるニーズ系統用蓄電池、自家消費、ピークカット、FIP売電、VPP、BCPなどに対応した解決策を提供しています。

 

 2023年10月現在、日本市場で30近くのプロジェクト案件を累計し、発電容量は40MWhを超え、システム開発、運転、アフターサービスにおいて豊富な経験を積んでいます。

 

 陸社長、本日はENERGY BIZインタビューを受けて頂きありがとうございます。以下、インタビュー内容を掲載させて頂きます。

 

 

エナビズ:蓄電池技術の進化について、将来的なイノベーションやブレイクスルーに関する展望はどうですか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 バッテリー技術の分野は非常に急速に進化しており、特に車載用バッテリーはそのスピードが速いです。以前は、自動車用バッテリーは通常3~4年かけて改良されていましたが、現在では約2年ごとに加速しており、将来的にはさらに速く、約1年半で技術更新が行われる可能性があるだろうと思われます。これはバッテリー技術の改良を意味するだけでなく、他のタイプのバッテリーとのハイブリッド化や固体バッテリー技術の開発など、革命的な変化を伴う可能性をも含んでいます。

 

 この技術の進化は、バッテリーの性能と寿命にも変化をもたらし、安全性も向上させるでしょう。太陽光発電産業が非常に成熟しているのに対し、エネルギー貯蔵分野はまだ比較的歴史が浅いです。しかし、エネルギー貯蔵産業は、技術の向上が進むにつれて、さらなる進歩が期待されます。 バッテリー技術の進化は、エネルギー貯蔵産業が急成長を遂げるための重要な要因となるでしょう。

 

エナビズ:新しい材料や設計が蓄電池性能にどのような影響を与えていますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 バッテリーの性能に関する2つの主な課題は、安全性と寿命(または劣化)です。 これらの2つの課題は、現代のバッテリー技術において緊急に取り組み、改善すべき重要な側面です。そのため、これらの課題に焦点を当て、新しい材料や技術の研究開発が進行中です。

 

エナビズ:蓄電池の製造および廃棄物処理における環境への影響を軽減するための具体的な取り組みは何ですか? 

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 蓄電池の生産における環境への影響は、依然として懸念事項であり、多くの大手企業が排出と環境への影響の軽減に努力していると思われます。しかし、現在、より注目されるべきなのは、蓄電池のリサイクルと廃棄物処理、特に使用済みバッテリーのリサイクルと処理です。

 

 新エネルギーとエネルギー貯蔵におけるリサイクルは、世界の資本市場で注目の的となっており、米国や中国などでは、多くの大手投資機関がバッテリーのリサイクルに投資しています。 現在の技術では、98%を超えるリサイクル率を達成することが可能になっています。重要な課題は、リサイクルをいかに持続可能的なものにするか、またリサイクル経路の安全性とリサイクル率をいかに確保するかです。

 

 興味深い一つのアイデアとしては、リサイクルを製品価格の一部に含めることで、消費者がバッテリーを購入する際に、リサイクルにかかる費用を事前に支払うこととなり、これにより消費者はリサイクルを単なるコストと考えず、積極的に支援するようになり、リサイクル率の低下を防ぐことができます。

 

 TAOKE ENERGY株式会社側のプロジェクトについて申し上げますと、すべてのプロジェクトで「スマートモニタリング管理システム」を採用し、これを用いて全てのプロジェクトのライフサイクルをカバーしています。問題が発生した場合にシステムを介してリサイクルの必要性を確認できるようにしています。 この方法は、将来にわたる持続可能なリサイクルを確保するのに役立っています。

 

エナビズ:再生可能エネルギーと蓄電池の統合による持続可能性について教えていただけますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 エネルギー貯蔵産業は、需要側でも発電側でも、新エネルギー発電(太陽光発電や風力発電など)と密接に関連しています。 一方、送電網側では、新エネルギーとは直接関係ないものの、送電網の不安定性は主に新エネルギーの変動によって引き起こされるため、間接的に影響を受けています。新エネルギーが送電網に与える影響のバランスをとるために送電網側では多くのプロジェクトを立ち上げており、その主な目的は送電網の安定性を保つことです。

 

 太陽光発電業界は、多くの国で新エネルギーの変動が電力網に与える影響を受け、既に限界に達しています。将来、エネルギー貯蔵は鍵となり、蓄電設備の数を増やすことで、送電網の負担を軽減し、主要な新エネルギー源として機能することでしょう。ほとんどの国は、新エネルギーによる電力供給の割合を、通常の電力供給の30%以上にすることを計画しています。

 

 つまり、新エネルギーは送電網の設備容量の約80%を占めていても、発電時間が比較的短いため、電力供給の30~40%にしか貢献できないのです。 現在、大半の送電網は15%程度、最大でも20%程度にしか対応できません。 30~40%にするには、エネルギー貯蔵を追加しなければならないのです。

 

 したがって、エネルギー貯蔵分野の需要は非常に大きいです。なぜなら、新エネルギーの設置容量よりもはるかに多くのエネルギー貯蔵が必要で、新エネルギーの変動を調整する必要があるからです。市場規模と価値の観点から、エネルギー貯蔵の市場は太陽光発電市場を上回る可能性があります。将来の10年間、エネルギー貯蔵分野の発展は迅速であると予想されますが、市場の持続可能性と将来の方向を確保するために、継続的な研究と探索が必要です。

 

エナビズ:蓄電池の需要は今後どのように変化すると予測されていますか?市場の成長率や動向についての見解を教えてください。

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 中国企業の新エネルギー分野、特にエネルギー貯蔵分野は、通常、製品製造に重点を置いています。 そのような製品には、エネルギー貯蔵インバータやバッテリーが含まれます。 しかし、応用分野では、中国企業の海外市場への参入は比較的まだ弱いです。TAOKE ENERGYは中国企業として、エネルギー貯蔵の応用と将来の発展により重点を置いています。

 

 当社は現在、電力管理システム(EMS)においての能力を強化しており、同時に電力取引に関連する分野への進出も計画しています。 これらの分野は、特に規模や量の点で、世界的に見てもまだ比較的不足しております。製品の完成度や成熟度もまだ発展途上であり、そこから見ても大幅な発展をさせる必要があります。

 

 私としては、市場には、こうした分野に対する大きな需要があると考えています。 競争は激しいものの、コアな技術や製品の革新が重要な要素であることに変わりはないです。 したがって、これらの分野では、市場での地位を拡大し、向上させ続けることが非常に重要です。

 

エナビズ:蓄電池のコスト削減と普及に向けた取り組みはどのように進展していますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 電池コストの低下は、多くの要因に影響されています。 技術の向上、新材料、新プロセスの導入により、コスト削減が期待されます。 また、エネルギー貯蔵産業の規模が拡大するにつれて、コスト削減のスピードはより顕著になると思われます。

 

 私どもは今後2年間で、エネルギー貯蔵業界の価格は急速に下落し、おそらく20~30%も下落すると予想しております。 それ以上、下がるかどうかは市場の動向次第ですが、現在のトレンドと技術の進歩に基づけば、この予測は妥当なものでしょう。このような価格低下の傾向は、エネルギー貯蔵技術の普及と市場拡大を促進する上でプラスに働くでしょう。

 

エナビズ:蓄電池システムが送電網にどのように貢献できるかについて詳しく説明していただけますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 蓄電池システムは電力業界でいくつかの主要な貢献をしています。まず、それは電力ネットワークの瞬時の変動を迅速に調整できます。蓄電池の反応速度は非常に速く、通常はミリ秒の単位であり、従来の火力発電などと比較して、太陽光発電などの新しいエネルギーの瞬時の変動により適切に対処できます。この貢献は通常「周波数制御」と呼ばれています。

 

 次に、蓄電池システムは太陽光発電の発電サイクルである3から5時間の期間内で重要な役割を果たします。この範囲では、蓄電池システムは重要な電力調整を提供でき、従来の水力貯蔵などの貯蔵方法よりも、化学貯蔵(リチウムイオンバッテリー)がこのような短期調整に適していることがあります。これにより、太陽光発電システムの安定性が向上します。

 

 さらに、バッテリーシステムは送電網全体の安定性と信頼性にも貢献できます。 停電や電力の障害への迅速な対応を可能にし、送電網の継続的な安定運用を保証し、大規模な停電や障害を防ぐのに役たちます。 これは送電網の信頼性を高める上で極めて重要です。

 

 要するに、バッテリーシステムは電力業界において、システム変動のバランスをとること、発電サイクルを調整すること、システムの安定性をサポートすることという3つの重要な貢献要素を持っているわけです。

 

エナビズ:マイクログリッドと仮想発電所の概念は蓄電業界にどのような影響を与えるでしょうか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 マイクログリッドの概念には異なる理解が存在します。従来の微電網は通常、大規模な電力ネットワークの供給がない地域で小規模な電力ネットワークを構築することを指しますが、ある程度では主要な電力ネットワークに接続されています。別の理解では、ある地域(たとえば、工業団地など)を比較的独立した電力ネットワークシステムと考え、そのエリア内で自給自足が主要で、外部電力ネットワークからの供給は一部にとどまるものを指します。これもマイクログリッドと呼ばれます。

 

 実は、マイクログリッドを比較的独立した送電網の形とみなす方が合理的です。 これは、一部の地域、特に安定した電力供給が不足している地域ではより現実的な意味があるからです。例えば、ディーゼルエンジンで電力を供給している地域では、電力供給時間が限られているため、エネルギー貯蔵を利用して電力供給時間を延長することで継続的な電力供給を確保できます。これは、マイクログリッドにおけるエネルギー貯蔵の重要な貢献要素の 1 つです。

 

 さらに、マイクログリッドには、太陽光発電やその他のエネルギー源を含むさまざまな発電設備が含まれます。この場合、エネルギー貯蔵システムは異なる電源を調整しながら、安定した電力供給を提供することで経済性と環境保護を向上させることができます。

 

 仮想発電所の定義には、2つの異なる見解が存在します。1つの見解では、規模に関係なく、新エネルギーやエネルギー貯蔵と電力ネットワークを結びつけて電力取引を行うものはすべて仮想発電所と呼べると考えています。もう1つの見解では、大規模な発電設備は独立して扱うべきであり、仮想発電所の主要な焦点は小規模および中小規模プロジェクトの集約概念であるとされています。この集約により、未利用のリソースをより効果的に活用できるため、これが仮想発電所の主要な価値点となります。したがって、仮想発電所の位置づけは、特に中小規模プロジェクト、特に需要側のプロジェクトにより焦点を当てるべきであるという見解も存在します。

 

エナビズ:一般消費者用電池製品の中で、ユーザーの利便性向上に重点を置いた取り組みはありますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 利便性という事で言うと、お客様はいつも経済性の評価、診断、設置、使用、メンテナンスなどの点に関心を持っています。 現在、これらに対して弊社はいくつかの対策を立てています。

 

 経済的評価において、完全なソフトウェア化と自動化が実現されています。顧客は限られた情報を提供するだけで、経済評価レポートを取得できます。インストールの必要性や効果の評価について、 瞬時にレポートを生成することができ、これは大きな利便性を提供しています。

 

 次に、運用とメンテナンスの便益に関して、当社は独自に開発したEMSとスマート運用管理システム(SmartOM)を通じて、運用とメンテナンスの面で一定の便益を提供しています。このシステムは「ワンクリック」および「無人運用」を実現し、つまりユーザーは専門的なスキルを持つ必要がなく、簡単な操作やキー操作で多くの設定とメンテナンス作業を完了できます。さらに、監視システムも自動的に障害や問題を検知し、人の介入を減らす方向に向かって進化しています。

 

エナビズ:バッテリーの選択と管理をサポートするスマート・テクノロジーを紹介していただけますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 現在、太陽光発電や蓄電業界での関連プロジェクトの取引プロセスでは、さまざまな取引行動が求められることが多く、そこには多くのシステム統合を実現するスマートなテクノロジーを創造し、顧客が簡単に接続できる保証も含まれております。弊社はEnergy Router と呼ばれるプロジェクトを計画中で、これが将来的にさらなる支援を提供できる見込みがあると考えます。

 

エナビズ:貴社の今までのプロジェクトの実例をいくつか教えていただけますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 現在、当社の初期プロジェクトは主に小規模なプロジェクトであり、昨年までは大規模なプロジェクトには参加していません。例えば、 熊本地域の2つのプロジェクトは主にエネルギー貯蔵に焦点を当て、主に電力収集用途に使用されています。さらに、FITプロジェクトなど、蓄電池を組み合わせた電力販売を行うプロジェクトもあります。来年からは、プロジェクトの半数が発電側のプロジェクトになる予定で、その中には東京電力エリア内で予定されている系統側の蓄電池プロジェクトも含まれ、来年4月に接続予定です。さらに、高圧を含むいくつかの計画中のプロジェクトがあり、特に特高圧の入札にも参加しており、来年にはさらなるプロジェクト成果が期待されています。

 

エナビズ:御社の蓄電池電力貯蔵製品は主にどのような場面での問題を解決するのでしょうか

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 現在は一般ユーザー向けではなく、産業・商業ユーザー向けの業務をメインに行っております。我々が現在解決している内容は、通常の最小電力量が 200kwh を超える場合などです。 現在は需要側、発電側、送電網側の3つの状況に対応していますが、短期的な視点では需要側と発電側がメインになっています。発電側のプロジェクトに関しては、まだ市場が開拓段階にあるため、現時点では実証結果のみ示すことが出来ます。

 

エナビズ:つまり、ほぼ200khw以上のプロジェクトであり、200kwh未満のプロジェクトは基本的には行ってないということですね。

 

TAOKE ENERGY株式会社:そうです。

 

エナビズ:今後、日本のエネルギー貯蔵市場全体にとって、最も重要なニーズはどのような方向になると思われますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 段階が違えば、事業開発の重点も異なります。 以前は、他の側でのニーズが低かったため、主に需要側に焦点が当てられていました。次の開発段階では、送電網側の重要性が高まりますが、将来的には再び発電側に移行する可能性があります。これは各国の電力市場のトップレベルの設計に依存し、そのルールがアプリケーションモデルに影響を与えます。 例えば、アメリカでは発電側が圧倒的に多く、送電網側は比較的小規模で太陽光発電関連のものが中心となっている。それに対して、日本は短期的には送電網側により重きを置くと予想されます。中国では、太陽光発電政策の変更により、発電側により重点が置かれています。各国の政策設計はそれぞれ異なる発展の方向性をもたらす可能性があります。

 

エナビズ:日本のエネルギー貯蔵容量は将来どれくらいになると思いますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:少なくとも、2030 年までに 50GWh に達すると思います。

 

エナビズ:日本のエネルギー貯蔵業界の発展を妨げる要因はなんだと思いますか?

 

TAOKE ENERGY株式会社:

 

 現在、電力会社の接続期間が非常に長いことが大きな阻害要素となっています。 日本では大規模プロジェクトの開発に3年以上の期間がかかることが、他国では考えられないことでもあります。しかし、それが日本市場の一つの特徴でもあります。長期期間の開発というのは多くの不確実性をもたらし、これは将来の特高圧の蓄電システムや太陽光発電プロジェクトなどの大規模プロジェクトが直面するリスクでもあります。したがって、日本で大規模なエネルギー貯蔵プロジェクトや太陽光発電プロジェクトを進めたいと考えている人々は、常にリスクが存在することを明確に理解する必要があります。

 

(取材 竹下しき 文・編集 佐々木)

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