ETIP PVは最近、ヨーロッパの太陽光発電業界の政策と規制の枠組みの変化、ヨーロッパの太陽光発電のバリューチェーンの弱点、そして産業政策の中で高まるイノベーションの役割に焦点を当てた、「太陽光発電製造白書」の最新版を公開した。
報告書はまず、ヨーロッパの太陽光発電業界の政策と法規枠組みの進化を評価し、更に世界の主要市場(中国、インド、アメリカ)の太陽光発電産業政策との比較をしている。2023年下半期に、EUと加盟国は「ネットゼロ産業法」、「緊急危機対応・移行フレームワーク」、「重要原材料法」など、太陽光発電バリューチェーンの再工業化を支援する政策を発表しただけでなく、加盟国の個別の政策戦略についても議論されている。
一方で、報告書はインド、アメリカ、中国の太陽光発電製造政策についても簡潔に分析している。たとえば、インドは国内製造業者向けの枠組みを設定したこと、アメリカは「インフレ削減法」を通じて太陽電池およびコンポーネントの生産能力を推進していること、中国は2001年から太陽光発電製造業に対して多数の政策的インセンティブと投資を行っていることなどである。
また、報告書はこれらの政策がヨーロッパの消費者コストに与える影響を分析している。10GWの統合太陽光発電製造工場のコストを、異なる地域(中国、インド、EU、アメリカ)や異なる技術(TOPCon、HJT、IBC)でのコスト変動を分析し、結論として、材料、労働力、機器、建設コストの差異により、EUとアメリカのコストが中国とインドよりも高いことが示されている。
続いて、報告書はコンポーネント価格の上昇が異なる場所や資本コストのシステムコスト(LCOE)に与える影響についても議論している。高い利率の環境下である北欧の気候での大型太陽光発電プロジェクトが、高いシステムコストに直面する可能性があるというものである。これらの課題に対処するため、政策立案者は、太陽光発電製造業者の生産コストギャップを縮めるためのツールを提供することが必要である。さらに、報告書では、資本支出(CAPEX)だけでなく、運営支出(OPEX)のツールも重要であると強調されている。
最後に、報告書は技術トレンドと産業政策が研究開発に及ぼす影響、特に製造設備の役割に焦点を当てている。ヨーロッパの産業関係者は研究開発とイノベーション投資に注力しているが、設備の大規模化、高い投資ニーズ、生産と供給の困難さという課題に直面している。製造能力の迅速な拡大と、イノベーションや高品質製品を通じた長期的な競争力の維持のバランスを取るために、政策立案者はヨーロッパおよび国家レベルで均衡点を見つけることが必要となる。
以上のことから、現在の産業政策の主な課題は、ヨーロッパの太陽光発電業界がこれから来るイノベーション技術の波に乗り、特にペロブスカイトなどの新素材による新プロセスを活用して競争力をつけ、グローバルサプライチェーンにおける自国の重要性を保証することが必要になるだろう。
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(文・編集 松木 大燿)



